徒然なるままな想い書き

日々の『思わぬ発見、気付き』をつれづれに。

説明が伝わりにくいのはなぜ?大切な情報の伝えられない3つの原因

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人生の先輩たちからのメッセージ

4月も既に10日も経っちゃいましたね。この時期は本当にあっと言う間です。私は今年の春から新しく社会人になったということで、現在所属している会社の新人研修を受けています。新人研修では、人生の先輩とも言えるべき人たちから、社会人としての様々なメッセージを頂いています。

 

これらメッセージですが、私の性格上どれだけ良いことを言われても、自分にとってどういう意味を持つかを考えてから自分の中に取り組むようにしています。なので、メッセージの多くはもちろん社会人として大切にすべきものとして受け取るのですが、聞きながら考えてしまうがゆえに、研修としてのプレゼン、メッセージの伝え方として良くない部分も反面教師として見えてきてしまいます。そこで、今回はプレゼン、メッセージを伝える上で良くないこと、問題である点について、私なりの問題提起として書いてみます。所詮私も新社会人の身分なので、人生の先輩がたがもしこの記事を読んでいただけているのならば、以下を読んで意見をいただけると幸いです。

 

 

1.抽象論だけで終わっている

基本的に、抽象論は、数多くの具体論からエッセンスを取り出すことによってできあがります。なので、より抽象的な論になるとそれだけ多くの具体論を内包するため、意味としてはとても漠然としたものとなってしまいます。

 

例えば、授業や講義中で寝てしまう学生がいたとしましょう。先生はその生徒に「気合いを入れたら眠くならないから頑張れ」と言います。ここで、「気合い」も「頑張れ」もかなり抽象的なものです。先生はこのように言いましたが、おそらく生徒はその後も寝てしまうでしょう。なぜなら、生徒にとっては、「具体的な対策」をすることで初めて、「眠くならない」ようになるからです。「気合い」とか「頑張れ」と言われても何の解決策にもなりません。具体的な方法が分からないから、そもそも生徒は眠くなってしまうのです。生徒には何かしらの具体的な方法が必要なのです。

 

 

では、どのようにすれば抽象論を意味のあるものにできるのでしょうか?解決策としては、抽象論を言った後には必ずサンプルとしてそれに含まれている具体論を入れることです。先ほどの例で言うと、「体を動かしたり、ペンで必死に文字を書くなどすれば眠くなくなるから、自分なりに気合を入れて頑張れ」です。人間は行動は必ず具体的なことなので、抽象的なことだけを言われても何も心に響きません。「キレイごと」にしか聞こえません。抽象論に伴ってそれが内包する具体論があることで初めて、その抽象論が意味を持つのです。

 

 

あと、少し脱線しますが、抽象論だけ聞いて納得している聞いている側も若干問題があると思っています。上で述べた通り、抽象論だけでは何の解決方法にもなっていません。自分なりの具体論に落として初めて意味を持ちます。先の例で言うと、自分にとっての具体的に「眠くならなくなる」方法が見つかって初めて、抽象論である「気合いを入れて頑張れば眠くなくなる」が意味のあるものになるのです。自分も含めてですが、指導者たちが言った根拠のない抽象論を意味のあるものにするためには、自分たちの方で考え、自分で何かしらの具体論に落としこむ必要があります。

 

 

2.具体論だけで終わっている

では、抽象論には具体論が必要だから、具体論さえあれば良いかと言うと、これまたそうではありません。具体論だけだと、「その人の経験」でしかありません。Aさんが「X会社に入って諦めずに頑張れば必ず結果が出る」と言っていたとしても、それだけではAさんの経験でしかありません。さらに、プレゼンやメッセージを言う側は大抵成功している人たちなので、生存者バイアスがもろにかかっています。生存者バイアスについては以前書いています。

 

 

tsurzur.hatenablog.com

 

 

生存者バイアスが厄介なのは、メッセージを伝えている人は成功体験があるからそのメッセージに疑いがなく、皆も実践すれば必ず成功すると過信していることです。この生存者バイアスを防いだメッセージにするには、母集団を増やすしかありません。ここで言う母集団というのは、一つ一つの具体論です。具体論が数多くあることで、初めて抽象論としても意味のあるものになるのです。もし、X会社の半分の人が「X会社に入って諦めずに頑張れば必ず結果が出る」と言っていれば、抽象論としても、意味のあるものに聞こえるはずです。

 

 

3.スライドの中身を言うだけ

プレゼンやメッセージを聞く側を思ってか、資料としてスライドのコピーを渡し、発表者がスライドの中身を言うだけのことが数多くあります。この発表者の人は何を思ってこの手法をとっているのでしょうか?そもそも紙面上の情報を伝えるだけであるならば、発表者は必要ありません、資料を読めば全ての情報が入ってくるからです。プレゼンや口頭のメッセージの場合、聞く側が受動的に情報を取得することができるというメリットを利用するためにこの手法を用いているはずなのに、これではそのメリットを一切無視してしまっています。聞く側は、受動的な聴覚情報よりも能動的に文字を読んでしまい、注意が文字に向かってしまうのでもう最悪です。プレゼンの情報提示については、以前このブログでも問題として対策を書いていました。なので対策は以下の記事を読んでみてください。

 

tsurzur.hatenablog.com

 

 

 

まとめ:大切な情報が伝え方のせいで残念になっている

以上3点を、研修時などでのプレゼン、メッセージで良くないこと、問題である点について書いてみました。これらはすべて情報の伝え方の部分なのですが、伝え方の部分がしっかりしていないと、情報がどれだけ大切なものでも、とても陳腐に聞こえてしまいます。

 

 

この記事を書く理由でもありましたが、今私が受けている研修でもこれら問題が起こっています。指導内容はとても大切であり、仕事を行う上でや、社会人として重要であるとは分かっているのですが、指導員によっては先に述べた抽象論だけで終わって具体的な方法、対策が見えてこなかったり、自分の成功体験を言ってから「みんなも頑張れば報われる」みたいなことを言ってもろに生存者バイアスを使ってメッセージを伝えていたり、スライドの文字を言うだけの催眠術をかけたりと、残念な人たちが数多くいます。新社会人の自分が言うのは本当は恐れ多いのですが、大切な情報を未習熟者に伝えるためには、ただ単に伝えればよいのではなく、その伝え方の部分も大切に扱う必要があります。そうでなければ、その大切な情報が未習熟者に伝わらず、結局時間のムダとなってしまうからです。

 

 

 

人生の先輩たちからのプレゼンやメッセージには大切な情報がたくさん詰まっています。しかし、残念ながらそれら情報を正しく明確に伝えるためには伝える側のスキルが必要であり、そのスキルがなければ歪んだ情報となってしまいます。この問題を解決するためには、伝える側がそのスキルを身につける必要がありますし、聞く側も伝える側の意図を汲み取って、そこから正しい情報を読み取るスキルを身につける必要があります。伝える側は上で書いたような対策が必要です。また、聞く側は、常日頃から相手の話す内容を鵜呑みにせず、裏にある本当に言いたいこと、根底にあるものを自分の中で考え出しながら聞くことが重要です。

 

 

繰り返しにはなりますが、所詮私も新社会人の身分なので、人生の先輩がたがもしこの記事を読んでいただけているのならば、以下を読んで意見をいただけると幸いです。

 

 

 

ではでは。