徒然なるままな想い書き

日々の『思わぬ発見、気付き』をつれづれに。

モデルプロセスから考える、OJT(On-the-Job Training)に足りないもの

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はじめに

今回の話は私個人が今までに経験したOJTを元に書いており、一般的なOJTとは異なる可能性があります。あくまで個人の感想、感じたことことなので、ご了承下さい。

 

教育訓練手法:OJT

まずは言葉の説明です。OJTとは、

On-the-Job Training(OJT):具体的な仕事を通して、仕事に求められるスキルを身につける訓練手法

です。

 

最近ではこの手法が企業の新人研修のスタンダードとなりつつあります。

でも、一方でこのOJTですが、割りと上手く行えないという運用上の問題を抱えています。私自身も、バイトや研究、インターンで実際に体験し、その問題を実際に感じていました。そこで、今回はこのOJTについて考えてみたいと思います。

 

OJTのモデルプロセス

色々あると思いますが、おおまかに言えば、

1.トレーナーがトレーニーに対してトレーニーが行う仕事を実際に実演

2.トレーニーが1をもとを仕事を実践

3.トレーナーが2に対してトレーニーにフィードバックを与える

と言えます。

 

それぞれもう少し詳しく書いてみると、1は、「モデリング」にあたります。トレーナーが提示した仕事の「モデル」を、トレーニーが繰り返し模倣することでモデルを習得することになります。また、2は、「リハーサル」にあたります。リハーサルでは、モデリングによって習得したモデルを元に、仕事を繰り返し行い、モデル通りに仕事ができるようにしていきます。最後に、3は、「フィードバック」にあたります。フィードバックでは、リハーサルの結果に対して、トレーニーはモデル通りに仕事ができているか分からないので、トレーナーがトレーニーの仕事の正誤を指摘し、軌道修正を行います。

 

OJTに足りないもの

さて導入が終わったので本題です。OJTのモデルプロセス1-3それぞれに足りないものを私自身は感じています(私の今までの経験の中でですが・・・)。

 

1.モデリング

まず、トレーナーがトレーナーとして機能していないと感じています。トレーナーは多くは上司にあたる人が担当するかと思いますが、トレーナーの役割が理解できておらず、トレーニーに対して、「モデル化された仕事」ではなく、「普段自分がやっている仕事」を提示しているように思えます。つまり、仕事をトレーニー用にわかりやすくモデル化して提示せず、普段自分がやっていることを「そのまま」提示しているのです。これでは、トレーニーは習得すべき仕事に対してモデリングができず、仕事の核の部分について理解しないまま終わってしまいます。

 

2.リハーサル

リハーサルは、基本的にはトライアンドエラーです。ですが、OJTは仕事を通じて訓練をしていくため、仕事に対するエラーは企業の損失となり、エラーの部分が嫌煙されがちになってしまいます。私自身は、エラーを自分で体感することで初めてエラーではない正解の部分を理解できると考えており(失敗は成功への近道)、エラーがしにくいリハーサルというのは非常に問題であると考えています。OJTでは、むしろ積極的にエラーを体感し、学習していくことが重要と考えられます(実際に仕事をするとエラーはもっと出しにくくなる)。

 

3.フィードバック

訓練内容が仕事というだけあり、フィードバックの内容が仕事の結果(アウトプット)だけになっているように感じます。トレーナーのトレーニーに対して費やせる時間が少ないこともあり、仕事の結果というのは短時間でフィードバックがしやすいからでしょうか。ですが、訓練の立場で考えると、トレーニーが本当に仕事を「モデル化」できているかは、仕事の結果のみでは分からないはずです。モデルが異なっても、結果は同じということはよくあります。トレーニーがモデル化ができているかは、仕事の結果に加え、仕事に対してどういう考えのもと、どう行動したかというプロセスの部分もフィードバックを与えるということが重要となるはずです。モデルの正誤が分からないトレーニーにとって、トレーナーが与えるフィードバックは効果が絶大です。だからこそ、フィードバックについては、このように何をフィードバックするかをよく考えなくてはならないのです。

 

まとめ

今回はOJTを題材として、OJTに足りないものを書いてみました。これら足りないものは、私自身が経験した中での足りないと感じたものであり、一般的な企業ではそうではないかもしれません。また、書いた足りないものはどれも一般的で易しいものであり、当たり前といえば当たり前かもしれません。ですが、仕事をして利益を上げるということが第一目的となっている企業にとって、OJTといえども、仕事自体に注目がいき、それをどうモデル化し、訓練するかということには注目があまりいっていないのではないでしょうか?トレーニーにとって、一度モデル化された内容はなかなか変えることができません。習慣化されたものは無意識に続いていきます。だからこそ、初めの訓練(OJT)にもっと注力していかなければならないのではないでしょうか?

 

ではでは。