徒然なるままな想い書き

日々の『思わぬ発見、気付き』をつれづれに。

【書評】サピエンス全史(上・下):生きるって何だ?

サピエンス全史を読んで衝撃があまりに強かったので久しぶりの書評。

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

概要

本の概要の説明はその他の記事にゆずります。

感想

まず、宗教も資本主義も人生の目的も、すべては人間の虚構とバッサリ主張するのが衝撃。
確かにうすうすは感じていたけど、ここまで理路整然と主張されるのは中々なかった。


人間、正確にはホモ・サピエンスなんだろうけど、その本質は昔から他の生物と一緒で、


「生きて子孫を繁栄させること」


それは今も昔も変わらない。でも筆者は問いかける。


それが実現できたら「幸福なのか?」と。


家畜やペットとして飼われている動物たちはいま歴史史上最大に「生きて子孫を繁栄させること」を実現させている。
でもこれら動物たちの環境は(人間から見ると)劣悪であり、その場から一歩も動けなかったり、生まれても発育が良くなければ容赦なく殺される環境だったりする。


その点、人間も人口が70億人を超え、「生きて子孫を繁栄させること」は十分実現させている。
その上で、人間は地球上の頂点に立っており(のはず...)、他の生物のようにその生き方を強制されない。
さらに、それは他の生物だけでなく人間同士でも言え、「社会」というシステムによって自由に生活することができている。
とは言え、人間は何にも強制されていないのかと言われるとそうではない。
人間は「社会」に強制されている。
ここで、初めの「幸福なのか?」の問い合わせと関係してくる。


世界にいる人間のほとんどは仏教やキリスト教といった宗教、はたまた経済的な資本主義、社会主義等、社会にある特定の信念に強く影響され、その考え方を強制されている。
分かりやすいのが資本主義。
多くの人は日々の生活のほとんどを仕事に捧げている。「お金を稼ぐために」だ。お金を稼げば何でも手に入り、何でもできるだろう。
でもそれが「幸福なのか?」と。
サピエンス全史を読んでみると、何かモノを手に入れたり、知らない世界に旅行に行けたりしたからといって、それが幸福につながるのか分からなくなってくる。


ここで、仮にそれらを実現して幸福な気持ちになったとしよう。
しかしその幸福な気持ちは所詮は脳がそのように認識しているのであって、その原因は単に特定のホルモンの増加である。
じゃあ、麻薬を使うように、特定のホルモンを増加させさえすればそれは「幸福」につながるのだろうか?
この本はこういった論点をストレートにぶつけてくる。
脳科学が発展して簡単にホルモン操作ができるようになるそう遠くない未来でも、人間は「幸福」を感じられるのだろうかと。


この本を読んだ背景として、最近自分のキャリアパスについて悩んでいた。
この本を読んでみて、いい意味で自分の期待を裏切ってくれたと思う。
これまではキャリアパスについて、自分の軸を固めるために何が必要かを考えていたのだが、この本を読んで軸そのものが何なのかを考えるようになった。
キャリアパスも人間社会での自分の立ち位置のプランなので、上述したように所詮は虚構の中での考えである。
そのため、「お金を稼ぎたい」とか「遊んで暮らしたい」といったどの軸も優劣はなく、どれを選んでも自由だ。
このように考えると自分の中の価値観というのが何を基準にすればよいか分からなくなる。
みんなはどのように考えているだろうか。


とは言え、そのように考えていも日は過ぎていくので、自分の中での答えを示しておくと、キャリアパスの軸は「自分が納得できる行動選択をしていく」ではないかと思っている。
ミスチルのCENTER OF UNIVERSEで「総てはそう 僕の捉え方次第だ」という歌詞があるけど、まさにこれ。
自分の捉え方さえ良ければ人生上手くいくのではないかと思っている。


っと、ここでミスチルの歌詞を引用してふと思ったけど、今回の感想はCENTER OF UNIVERSEの歌詞と全く一緒やね笑
既に言葉として表現されていることに気づいてショックを受けてしまったのでここらへんにしときます。




ではでは。