徒然なるままな想い書き

日々の『思わぬ発見、気付き』をつれづれに。

【書評】仕事は楽しいかね? ”明日は今日と違う自分になる”

仕事は楽しいかね?

仕事は楽しいかね?

 

 

仕事は楽しいかね?

この本ではとある空港で吹雪のために立ち往生をくらった主人公である語り手とマックス・エルモアという老人のやりとりが描かれており、マックスの語りによって主人公がタイトルにもあるように仕事の捉え方、というよりも人生の捉え方について一つの気づき・アイデアを得ていきます。

 

 

序盤は主人公の今の仕事の捉え方、そして現代の仕事・人生のあり方が語られます。主人公は今の仕事が退屈である一方、将来に対しては不安だとマックスに語ります。マックスは、「退屈」と「不安」という同時に生じないものが生じている状況を「スタグフレーション」に例え、現代の仕事の状況を「職業的スタグフレーション」と表現します。現代の仕事は、責任が重くなったり多くのものが要求させるのにも関わらず、給料が上がらない状況だからです。ここで、スタグフレーションとはスタグネーション(景気停滞)とインフレーション(物価が上昇し続ける)という相反するはずのものが同時に起こっていることを示す経済学における造語です。

 

後の10章で述べていますが、マックスはさらに、現代は過多の時代と表現します。供給過多の状態が価格競争を引き起こし、企業は常に価格に振り回され、私たちはとてつもない圧迫を受けながら生活をいるからです。この過多の時代では、過多なのはモノだけではなく、人も過多の状態であるとマックスは言います。人はみな平均より上になりたいと望んではいますが、生産が過剰であるため、仕事では熾烈な競争に勝っていかなければなりません。そのため当然勝者は限られてしまい、有能なのに月並みな仕事ばかりして定年を迎える人が数多く出てきてしまう時代となっているのです。マックスはこういった今の世の中で成功するためには奇跡とでも言える”マジック”が必要だと述べます。この”マジック”を実現するための”タネ”の部分が、この本が最も伝えたい部分と言えます。

 

マジックのタネ:試し続け、アイデアを引き寄せる

マジックには必ずタネがあります。マジックを実現する第一歩というべきタネが「試すこと」です。多くの人は自分がどんな仕事が好きなのか、やり続けていきたいのかを分かっていません。私も今年社会人になりましたが、相変わらず分かっていません。そのため、多くの人は仕事をやっていてもどこか幸せじゃないとつい感じてしまいます。マックスはここで、多くの人が仕事おいて良いとされる目標や計画の設定に疑問を投げかけます。「目標を設定し、それに向かって計画を立てて努力する」という考え方は人生を直線的な見方で捉えており、人生はやるべき仕事や習得すべき技術や到達すべきレベルの連続として捉えているのではないかと。しかし、人生はそんなに規則正しいものではなく、規則から外れたところでいろんな教訓を与えてくれるものではないかと。マックスは人生なんて思いどおりにはならないと語り、大胆にもこう言ってのけます。

 

今日の目標は明日のマンネリ。

 

これは、目標を設定している限り直線的な見方しかできず、直線の先にはマンネリしかないということを言いたかったのではないかと個人的には思います。そしてその後、マックスは自分の唯一の行動指針を述べます。

 

”明日は今日と違う自分になる”

 

「人は<違うもの>になって初めて<より良く>なれるのであり、そのためには一日も欠かさず変わっていかなければならない」、マックスはそう述べます。「変わった先に何があるかなんて分からない、目標なんて必要ない」、これを言わせたいかのように、マックスは次の疑問を投げかけます。

 

きみは、最初に陸にあがった魚は長期にわたる目標を持っていたと思うかね?

 

これを聞くと確かにそうなんだなぁと思います。今日を頑張ってこそ明日があるのだし、遠い未来なんて誰も分からない、そのように感じました。ただ、だとすると「目標」って何なんでしょうね?「明日は今日と違う自分になる」といった行動指針は持つべきだけど、「来年までに〇〇を実現する」といった未来の予定は持つなってことなんですかね?個人的な解釈としては、行動指針は明確なものを持ちつつ、未来の予定は行動指針に沿って今日に応じた柔軟なものとしていけたらなと思います。未来の予定なんて狂うのは当たり前と考えて。

 

偶然は発明の父

物語は再び「試すこと」に戻っていきます。マックスは過去に成功したコカ・コーラやリーバイスの例を挙げ、「試すこと」と「偶然」の関係について述べていきます。コカ・コーラは、ある日店員が新しくつくった頭痛薬を水で割って飲んだことから偶然ヒントを得ました。また、リーバイスは鉱夫に対して唯一売れなかった帆布の布を偶然当時品薄であったズボンに転用してオーバーオールとして売り、成功しました。これらは宇宙からの贈り物とでも言えるアイデアが「偶然」舞い降りた例と言えますが、こういった宇宙からの贈り物を受け取った人たちはあらゆることを試し、心を開いてアイデアがやってくることに備えていたからだとマックスは言います。待っているだけでも新しいアイデアはやってきますが、待っているだけでは新しいアイデアには気づくことができません。試し続け、心を開いた状態でいるからこそ、新しいアイデアに気づくことができるのです。

 

成功するというのはね、右に倣えをしないっていうことなんだ。

マックスは続いて「試すこと」と「成功」との関係性について語っていきます。人生を直線的な見方で見ていると、成功のためには模範的な人の真似をすれば良いと考えがちです。しかし、それはある一つの道(直線的なもの)を辿って他のみんなと似たり寄ったりの考えに行き着こうとしているに過ぎず、成功する確率はかなり低いものとなってしまいます(特に”過多の時代”では)。成功のためには、試し続け、例え10回やって8回失敗しても、そのうちの2回の成功を手にしていくべきだとマックスは言います(この方が確率が高い)。

 

成功の宝くじでは、勝つチャンスは何百と手に入るし、そのほとんどは大損するようなものじゃないってことを。

 

マックスはさらに、他人を凌ぎたいと思うのなら、「並の人をやめることだ」と言います。成功のゲームをするためには、人は懸命に、より良くなろうと、常に違った自分を目指さなければならない、すなわち、試し続けていかなければならないと。試すことで毎回何かを学ぶはずであり、元の場所に戻ることは絶対にありません。試すことで新たにチャンスを手にしていくのです。

 

ホーソーン効果

これまで散々と「試すこと」の重要性を述べてきましたが、そもそも人間は試すことが大好きで、それが生産性などを上げる要因となっていることを「ホーソーン効果」を例に挙げてここからは説明していきます。ここで、ホーソーン効果とは、実験において、実験者が被験者に期待しているという状況下では、被験者は自分が試され期待されていると感じ、普段よりも良い結果を出すことができる効果のことです。マックスは人生はこのホーソーン効果の連続だと述べ、新しいことに挑戦し続けることが自分を高めていくのだと語ります。

 

ホーソーン効果についてはこの本で初めて知りましたが、個人的にはこの試すことが生産性を上げることはとても共感できました。相手に試されていると分かるとついついムキになって頑張っちゃいますし、自分でも試験的に色々とアイデアを試しているときはついついワクワクしちゃいます。チャレンジ精神とでも言いますか、これから年齢を重ねていくことで弱くなっていきそうな精神ですが、大切にしていきたいものです。

 

3つのリスト

この本では最後に、読者が実践できる、アイデアを生み出す3つのリストを提案しています。このリストは、以下の3つからなります。大事なポイントは3つのリストとも、洗いざらい”すべて書き出す”ことです。

 

  1. 仕事の問題点。仕事に関してイライラすることを残らず並べる。他の人の不平も。
  2. 仕事に関してやっているすべてのこと。
  3. 仕事上でやったミス。

 

1の仕事の問題点のリストを書くべき理由は、問題点を克服、解決しようとすることで、新しいアイデアの流れに飛び込めるからです。問題点にとにかく向き合うことで、問題点に対するアイデアがまた別のアイデアを引き寄せたり、新しいアイデアが自分の元に飛びついてきたりします。

 

2の仕事に関してやっているすべてのことのリストを書くべき理由は、仕事は続けていく中で再定義し続け、定義を広げ続けなければならないからです。マックスは例として、優れたエンジニアであるためには高い技術だけでなくアイデアを売る能力や、みんなと一緒に働く能力が必要であるとし、必要な能力はこれ以外にもたくさんあると述べます。その能力を身に付けるためにも、仕事でしなければならないことをリストに書き出し続け、仕事を再定義し続けていくことが重要だとマックスは言います。

 

3の仕事上のミスのリストを書くべき理由は、ミスに対して人間は隠そうとするが、それを感情を抜きにして見つめなおすことで次につながるアイデアと出会うことができるからです。

 

全体の感想

物語全体が主人公とマックスの対話からなっているので、要点を自分の中でまとめるのが難しかったと思います。自分の中で本の要点がつかめているかどうかは、今回私が書評として書いたように、一度考えを文章化して「試して」みるのが一番いいと思います。そうすることでいかに自分の中で本の内容、「アイデア」が自分の考えとして吸収されたかどうかが分かるはずです。これこそ、まさにこの本が伝えたい「試し」とそれによって得られる「アイデア」の一例と言えるのではないでしょうか。正直記事を書き終えて読み直してみてもまとまっている感じはしませんが笑、これを「試しに」読んでみて、皆さんももし何かの気づき「アイデア」と出会えたのならこれ幸いです。

 

 

ではでは。

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」より~

 

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