【書評】脳が冴える15の習慣 : ライフハックな習慣づくりのコツ
脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)
- 作者: 築山節
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2006/11
- メディア: 新書
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脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める
書評です。この本では脳の機能、とりわけ前頭葉の機能を活用するための15の習慣について書かれています。前頭葉とは、脳の前の方の部位(おでこらへん)であり、主に行動に対する「選択」「判断」「系列化」を担っています。
(詳しくはWikipedia参照 : 前頭葉 - Wikipedia)
以下、15の習慣とその要点、私が読んで考えたことを述べていきます。
習慣1:生活の原点をつくる
生活のリズム
- つくるには? → なるべく同じ時間に起きる
- 失うと・・・ → ボケの入り口
脳のウォーミングアップ → 足・手・口を意識して動かす(運動系の脳の部位の活性化が脳全体の活性化につながる
- 例:散歩などの軽い運動、部屋の片付け、料理、ガーデニング、挨拶+一言、音読(できれば10分以上)
- 「音読」が良い:「脳の入力→情報処理→出力」が連続的に含まれている
(コメント)
「脳の入力→情報処理→出力」がとても大切であることは非常に共感できます。私のブログでもこの考え方は結構取り上げていました。
習慣2:集中力を高める
脳の基本回転数
- 脳の基本回転数 = 頭の回転の速さ
- 食事後は血液が胃の周辺に集まりやすく、脳の機能が落ちやすい → 軽い運動をする(例:散歩)
- 回転数を上げるには時間の制約(締切)が必要:試験を受けているような状態をつくる
- 一度脳の基本回転数を上げるとその状態がしばらく続く
- 周りの人の回転数と競い合うようにする
脳の回転の速さを活かすには?
- 脳の準備体操をし、基本回転数が上がりやすい状態をつくる
- 時間の制約をつくり、集中力、頭の回転の速さを高めた中で仕事をする(長くて2時間が限度)
- すぐには休まず、基本回転数が上がっている状態を利用する(それまでの作業を見直し改善や、面倒な雑用などをする)
- 「試験を受けている状態を一日に何回つくるか」を常に考えるようにする
仕事の捉え方
- 仕事をする時間は何時までと決め、それ以降はないと考える習慣を持つ
- 必要十分な仕事は厳しい時間の制約の中で組み立てたもの:仕事は24時間あると言われたら何から始めていいのか分からなくなってしまう
(コメント)
残業が日常化すると時間の制約がなおざりになってしまいます。仕事の量を測ってサブゴールなどを決めることによって、17時までにサブゴール〇〇を終わらせるという時間の制約をつくることができます。このように自分の中での締切を意識した仕事というものを今後していきたいなと思います。
習慣3:睡眠の定義
睡眠
- 睡眠は疲労回復のためだけでなく、思考の整理を進ませるためにも必要
- 夜は情報を蓄える時間に向いている。考えを大雑把にまとめ、早く寝る
(コメント)
高校時代、英単語を覚えるのはいつも寝る前にやっていましたけど、脳の性質的に正しかったんですね。確かに当時は上手いこと覚えられていたと思います。人間の睡眠周期90分+αと組み合わせるとさらに睡眠を有効活用できそうですね。
習慣4:脳の持続力を高める
前頭葉
- 前頭葉は脳の司令塔。司令塔がいなくなると次に人間を動かすのは感情系の欲求となり、ダラダラと本能のまま過ごしてしまう
- 前頭葉の主要な活動は「選択」「判断」「系列化」
- 現代人は前頭葉のタフさが欠けている(テクニックよりもタフさ) → 家事・雑用をしてトレーニング
- 毎日自分を小さく律することが、大きな困難にも負けない耐性を育てる
(コメント)
人間の脳を使って人間の活動をどんどん機械化、自動化していっている中で、あえてその活動を自分で行うことの方が脳のためになるとは何という皮肉。家事・雑用、ちゃんとやります・・・
習慣5:問題解決能力を高める
自分の整理・管理の明文化
- 整理や管理方法に自分なりのルールを持つ
- 一日の行動予定表を書く(時間的制約も)
- 問題解決に至るプロセスを書く
- 書いたものを自分で分析したり、他人に評価してもらったりすることも大切
(コメント)
普段日記を書いたり行動ルールは決めていますが、自分の中では「他人の評価」が足りていないなと感じました。わざわざ聞くのも恥ずかしいですし。少しづつ前に踏み出して他人の評価に能動的に触れていきたいと思います。
習慣6:思考の整理
思考の整理
- 思考の整理は身の回りの整理と同じ
- 忙しい時ほど身の回りの整理を優先する → ベーシックな習慣を大切にする
- 仕事で混乱した時は、机を機能的に整理することから始める
- 脳の力を最大限に発揮させるにはまず仕事を整理し、優先順位をつける
(コメント)
デスクやPCのデスクトップってまさに心の中が表れていると思います。特にPCのデスクトップが背景も見えないほどアイコンまみれの人は正直ゾッとしてしまいます。デスクやPCはまさに自分の外部記憶の引き出しですし、それらが散らかっているといざとなった時に外部記憶から情報を取り出すことができなくなります。なのでぜひ整理は心がけたいところです。
習慣7:注意力を高める
目の動き
- 目の動き = 選択的注意の対象
- 目の動きがないと、選択的注意の切り替わりが鈍くなり、反応が鈍る
- 脳の健全な働きを保つためには、目を動かして積極的に情報を取ることが必要
- 現代人はテレビやPCなど平面を見ることが多く、目の動きが少なくなっている
目の動きを補う習慣
- 目のフォーカス機能を使う:遠いものを見たり、近くの微細なものを見たりする
- ラジオを利用する:耳から情報を取る訓練(耳からの情報の入力 → 自分でメモを取りながら要点をまとめる情報処理 → 内容を話して再現する出力)
(コメント)
カクテルパーティ効果のように、人間は選択的注意の能力に長けています。普通のデスクワークだとあまり選択的注意を切り替える必要がないため、能力が弱ってしまうわけです。何とか意識してこの本のようにトレーニングしたいところです。選択的注意といえば下の動画が有名ですが、皆さんご存じですか?思わずハッとさせられますよ。
習慣8:記憶力を高める
脳の記憶
- 脳は見た情報、聞いた情報をとりあえずすべて記憶するようにできている。しかし、意識的に脳に入力されていない情報は思い出したいときに思い出すことができない(その代わり、「あ、これ知っている」と感じたり、ふとした拍子に思い出したりする)。
人に伝えることを前提として情報を取る
- テレビをメモを取りながら見る:この情報を後で〇〇に教えてあげようと出力を意識する
- 会社の帰り:何か家族に話すネタはないか、仕事に役立つ情報はないかと考えながら周囲を見るようにする
- ブログを書く
- 会話する機会が少ない人には、書き写しや音読が有効なトレーニング
(コメント)
これを実践するには、今私がこのように書いている「ブログ」が本当にオススメです。ブログを書く習慣を持っているとブログネタを仕入れようと入力を意識しますし、その入力をまとまった考えにしようと情報処理もします。そして、それをブログに書きます(出力)ので、必然的に人に伝えることも意識します。習慣1にあった「脳の入力→情報処理→出力」がブログを書くだけで習慣化できるので本当にオススメです。
習慣9:話す能力を高める
話す
- 話上手な人の周りには相槌の上手い人がいる
- 結婚式のスピーチは脳トレ:キーワードを頭のなかに浮かべながら長い話をする
- 人の質問に答える形で話を長くしていく(周りの人の協力が大切)
- メモを用意し、そのキーワードを辿りながら慣れない話を長くする
- 写真を撮ってきて、それを示しながら表現をふくらませていく
(コメント)
聞くことや書くことは好きなんですけど、話すことは本当に苦手です。これを機会に話すトレーニングします。
習慣10:表現を豊かにする
相手の立場に立つ
- 自分の話が本当に相手に理解されているかを常に気にかける姿勢を持つ
- 相手のせいで伝わらないと考えるのではなく、自分の感覚で話すと理解してもらえない相手にどうやって理解してもらうか
- 伝わらないとしたら、なぜ伝わらないのかのかを考えながら話す。また、理解してもらえなかったら理解してもらえるように話し直すという習慣を持つ
- 自分の思考パターンを離れて相手の身になって考える → 前頭葉を鍛える有効な訓練
- たとえ話をよくする人はボケにくい → 脳が総合的に鍛えられる
(コメント)
色々な本でよく言われている「相手の立場で考えよう」。言われてはいても、やはり中々難しいです。これは試行錯誤しながら身につけていくしかないんですかね。
習慣11:脳語を健康的に保つ食事
エネルギーの重要と供給
- 体を動かさない時に食べること、消費するエネルギー以上に食べ過ぎることが問題
- エネルギーの需要と供給のバランスを常に保っておかなければならない → 需要として体を動かす
(コメント)
適度な運動、大事です。
習慣12:脳の健康診断
画像診断のススメ
- MRなど、定期的に画像診断を受ける
- 脳の機能は形に表れる:機能不全のときは形がやせ細っている
(コメント)
人間ドック、お金があったら受けてみたいです。
習慣13:脳の自己管理
小さな失敗の分析
- 脳の問題を自覚する最も良い方法は自分がした失敗を分析すること → 小さな失敗に対して日記をつける
- 失敗した時間も記録 → バイオリズムと関係がある
- 大きな失敗に注目しても中々原因は見えてこない → 日常的によくする小さな失敗から注目していく → 本質に近づける
- 人から指摘される問題行動を分析するのもいい
(コメント)
習慣5と重複しているような気もしますが、何らかの形で自分の生活を可視化して分析できるように習慣化しておくのが大切です。
習慣14:想像力を高める
「何の役に立つのか」より「誰の役に立つのか」を重視して考える
- 選択肢を限定して考えられる
- そのアイデアによって喜ばせられる対象をはっきりさせる
アイデアは情報の組み合わせと考える(無から有は生まれない)
- みんながX軸とY軸で問題解決を考えようとしているとき、Z軸上にある情報も組み合わせ、有効な考えを生み出すことができればそれは立派なアイデアとして認められる
書くことによって情報を脳に刻み込み、まとめをしながら考える
- 書いてそれを見て、読んで耳からも情報を入れなおすことで、情報が二重三重に脳に刻み込まれる。また、忘れてしまっても出力された情報が目の前にあり、再び思い出せる
交友範囲を広げる、活動を豊かにする
(コメント)
「ひらめき」というのは、ここで言う「Z軸が見えるようになった」ことでしょうか?あと、気になったのが「誰の役に立つのか」。ブログを書いていると時々不透明になってしまっているのが「誰のための記事か」。これを教訓に記事ごとに必ず読者ターゲットを意識したいと思います。
習慣15:意欲を高める
意欲は誉めから
- 意欲は人間の活動のアクセルにもブレーキにもなる
- 意欲を高めるには、自分の行動と結果を誰かが評価してくれることが重要
- 小さな成長を認めて誉める
- 相手(家族や部下)の意欲を高める
人を好意的に評価する
- 人を好意的に評価することは、自分が評価されやすい環境をつくる
- 人を評価するためにはまず人をよく見なければならない。そのため、積極的に人を誉めようとしていると、周囲の状況をよく見るようになっていく。また、人から評価されやすい人にもなっていく。
- 人に評価してもらうためには、それ以前に、自分が人を評価してあげていなければいけない
時にはダメな自分を見せる
- 生活のどこかにダメな自分を見せる場面があると、意欲を高めやすくなる
- 一番できない生徒になる → より小さな成果でも、それが努力の賜物であることが分かりやすいので、認められやすくなる
人間には社会性が必要
- 自分を動かしてくれる人、気を遣わなければならない相手、競い合うライバル、自分の問題点を指摘してくれる人、自分を評価してくれる人、そういう人たちが周りにそろっていて初めて脳のバランスの取れた成長が期待できる
(コメント)
人間は誉めより批判したがる動物(危険察知は生存本能)なので、ついつい好意的な評価よりも否定的な評価をしてしまいます。ただ、評価しようとしている時点で相手を見ようとはしているので、それを「好意的」にスイッチすればいいだけの話です。これが結構難しいですけど。利己的に返報性の原理を利用するという考え方でも良いので、下心がなんであれとにかく実践してみるのが良いかなと思います。習慣化して無意識化してしまえば勝ちですし。ちなみに、普段頭ごなしに否定的な評価をする人は論外です。
まとめ
おおよそこの本から私が感じたメッセージは、
- 「脳の入力→情報処理→出力」を習慣化する(仕事、自分の分析、などなど)
- 人間には社会性が必要なため、周りの人と協力する(好意的な評価、相手から学ぶ、などなど)
です。この本では、色々なライフハック系の本や記事で言っていたことを脳の視点でまとめた内容となっているので、そういったライフハック系が好きな方や、まとまったものを読みたいという方にはオススメできる本です。
ではでは。
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